教育指針

 薬剤師は「薬の専門家」であるばかりでなく、「疾病の予防」や「健康増進」の領域においても、医療の担い手として質の高い職能を発揮する事が求められています。 衛生薬学研究室では、基礎研究を通して生命現象を身を以て体験し理解することで、医療情報の評価力を高める力、問題を提起し解決するモチベーションに繋げる力を養います。また、 「病態と治療」をテーマとしたセミナーは、有効な薬剤師として必要な情報収集能力や思考力、高いプレゼンテーション能力を身に付けることを目標に実施しますが、国家試験対策にもつながります。 衛生薬学研究室は、和を以って、互いが切磋琢磨することを研究室の指針として掲げ、国家試験全員合格に向けて取り組みます。また、勉学や研究のみならず、研究室での良き先輩、良き友人、良き後輩との出会いが、生涯の財産になることを願って研究室を運営します。研究室の卒業生が、医療従事者としての強い自信と高い社会性を身に付けた薬剤師として社会で幅広く活躍してくれることを目標としています。




           ● 切磋琢磨し、互いに学びあう
           ● 信頼と思いやりで結ばれた絆をつくる
           ● 医療従事者としての自覚と誇りを養う






授業概要

 衛生薬学とは、生(命)を衛(まも)るための応用学問で、医療チームの構成員としての薬剤師にとって、 人の健康の保全と疾病の発生予防のために必要となる、実践的な予防薬学です。 厚生労働省は来るべく高齢化社会を見越して、健康寿命の延伸を目指して「健康日本21」なる保健事業に着手しました。なかでも、死因の5割を占める生活習慣病対策としては、一次予防重視 の観点から栄養・食生活の適正化や身体活動・運動を行うに当たっての基準や目標を設定しています。薬剤師は地域においてその普及啓発活動を行い、目標達成の為の役割を果たす事で医 療人としての真価が問われます。その為には、基準や目標の意味合いや背景そして設定数値の科学的根拠を理解しておく必要があります。また近年鳥インフルエンザによるパンデミックが懸念 されていますが、医療人として、地域の予防対策への積極的な関与が期待されます。これらについては、「疾病の予防」で講義されます。

 健康と病気とは二元的に捉えられません。健康には完璧な状態から病気という状態になるまでに段階があり、病気もまた軽い段階から重症への階段を下りながら死にいたるわけです。肥満、糖尿病 、高脂血症あるいは高血圧などの生活習慣病は、まだ軽い段階では健康と病気との境界的な段階にあると捉える事ができます。薬は病気から健康状態へと引き上げるために使用されますが、 栄養・食生活及び身体活動・運動の改善は病気を軽減し、また健康を一段と高い水準にまで引き上げる為のもので、まさに「食こそ医なり」と言う事が出来ます。糖質、脂肪そして蛋白質といったエネ ルギー源が体内で肝臓、脂肪組織、筋肉などの臓器にどのように貯蔵されそして使用されるか、栄養素の摂取の歪みや不足が生体でどのような歪みとなって生活習慣病が引き起こされるかについて の栄養生理学は予防薬学の中で益々重要となるでしょう。このような状況の中で近年多数の特定保健用食品や健康関連食品が注目を浴びています。また、外食産業が盛んになった今日では、食品 添加物の使用にも様々な問題があります。これらの事については「食品衛生学」で講義されます。

 人は経済活動の結果生じる廃棄物を自然界に捨て、自然環境や生態系の破壊が進んでいます。その結果、種々の化学物質が汚染物質として食品、水そして空気を介して生体に摂取され、人の健康 を脅かしています。汚染物質が人体にどのような経路で取り込まれ、どのような疾病を引き起こすのかについて「環境科学」や「化学物質の生体への影響」で講義されます。今後も、人は利便性を求め て多数の化学物質を作り続けて利用します。家庭用品をはじめとする汎用化学物質の誤飲事故に関する日本中毒センターへの問い合わせは4万件に及ぶと言います。様々な化学物質中毒について、 化学物質の吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)そして排泄(excreption)いわゆる薬物動態(ADME)を基本にした対処法についても講義されます。


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